原子とは何ぞや


まずこのページで「原子」について学びましょう。
量子力学やイオンの話にも発展していますが、「へぇ、そうなんだ」というとらえ方でもOKです。

あなたがこのページを見ているということは、少なくともその空間にはあなたがいて、そして電子機器があります。
「あなた」や「電子機器」はひとつ、ふたつと数えられる「物体」です。
あなたを真っ二つにしたり、電子機器を思いっきり床に落としたら(こんなことはしないでください)、その物体は「あなた」でなくなり、「電子機器」でなくなります。
しかし、あなただったものや電子機器の破片を構成しているものは別に変わっていません。
そういった、物体を構成しているものを「物質」といいます。
物体と物質
↑「物体」と「物質」のおおまかなイメージ。人をDNAまで細かくしても、「人を形づくるもの」であることには変わりない。
また、機械を分解しても、スクラップにしても、「材料そのもの」は変わっていない。

原子は、物質をつくっているものの正体です。
原子は、真ん中にある原子核と、その周りに存在する電子から構成されています。
原子核はさらに正の電気を帯びた陽子と、電気的に中性な中性子からなっています(1Hは中性子を持たない)。

原子核にある陽子の数で、原子の種類が決まります。
たとえば、1つの陽子の周りに電子が回っているのは「水素(1H)」です。
陽子と中性子が2つずつの原子核の周りに電子が回っているのは「ヘリウム(4He)」という具合です。
水素←水素原子のモデル。赤く示した原子核(正)と青く示した電子(負)が引き合う。

原子核が正、電子が負なら電気的に引き合うことになります。
したがって、1つの陽子を持つ水素は、周りに1つの電子を持つと電気的に安定するのです。

上で見た原子モデルにはには、灰色の輪があります。
これは電子殻といい、電子が入る「家」を示しています。
そして電子殻の中に、電子が入る「部屋」にあたる電子軌道があります。


実際は、電子は粒子と波動両方の性質を持つため、電子は「電子雲」として確率的に存在しています。
本来は平面的に示せるものではありませんが、炎色反応を考えるときは「こんな風に電子が回るんだ」位の認識でも大丈夫です。
詳しく知りたいときは、「量子力学」という学問を学ぶことをお勧めします。


例えば。

電子を閉じ込めておいたとします。
電子が「粒」なら、そこから出ていくことはありません。
「波」なら壁を通り抜けて逃げてしまいます。
さて、電子はどうなったでしょう?

電子は壁を通り抜けるのです。

クルックス管に電圧をかけると陰極線という線ができます。
そこに磁石を近づけると線は曲がります。
もし電子が波なら、磁界によって曲がることはありません。
クルックス管 ←クルックス管。黄色い線が陰極線をあらわす。

あれ。電子は波の性質を持つんじゃないの?と思った皆様。
あれ。電子は「粒子」でしょ?と思った皆様。
どちらも正解です。

ここで、「ルビンのつぼ」という絵を見てもらいます。
ルビンのつぼ
何が見えるでしょうか。
優勝カップのようなつぼ?人の顔?
どちらにも見えます。
しかし、2つを同時に認識することはできません。
電子も同じです。
波と粒子の性質を持っているのに、同時に認識できないのです。


脱線しかけたのでもう一度話を戻します。
電子殻は原子核に近いほうからK殻、L殻、M殻…という名前がついています。
電子は内側から入っていきます。K殻が空っぽなのにM殻に電子が入ることはありません。
そして、電子が殻いっぱいに入るとその原子は安定します。
K殻は電子が最大で2つ、L殻は8つ、M殻は18入ります。
殻が原子核に近いほど、電子が入るためのエネルギーが小さくてすむ(電子も、楽なほうがいいと考えるのです)ので、電子が入っていく順番もK、L、M...の順です。
殻が満杯になって初めて、次の殻に電子が入るのです。
塩化物イオン←M殻が満たされた状態の塩素(正確には塩化物イオン)

「今の殻が満杯になって次の殻に電子が入る」ということは、原子番号2のヘリウムと原子番号10(2+8は10です)のネオンは、それぞれ殻にすべての電子が入っているので、どちらも安定しています。

というか、性質も似ているのです。

原子における一番外側の電子殻を「最外殻」といい、そこに入っている電子を「最外殻電子」といいます。
原子の性質を決めているのはこの最外殻電子です。

この最外殻電子が中途半端にあって電子を手放しやすかったり、逆に「あと1つで最外殻が埋まるのに…」ともどかしい思いをして電子を受け取ったりすることもあります。
これらは「イオン」といい、失った、または得た電子によって原子そのものが電気を帯びます。
ナトリウム原子だったら、電気は陽子が+11、電子が-11で合計は0です。しかし上にあるように10個の電子でL殻が埋まります。
するとナトリウム原子は電子を1つ手放し、「ナトリウムイオン」になるのです。
これは陽子が+11に対して電子が-10なので、全体で+1の電気を帯びます。
これが「陽イオン」です。電子を受け取った原子の場合は全体で-の電気を帯びるので「陰イオン」と呼ばれます。
イオン←イオンのでき方。陽イオン、陰イオン、イオン結晶の順。


一番外側の電子が原子の性質を決めています。また、似た性質の元素があることも分かっています。
では、それをうまく並べたらどうなるでしょうか。
そう、性質の似たもの同士が並ぶ表が出来上がるはずです。
こんな発想で生まれたのが「周期表」というものです。

次の項では、周期表についての説明をしたいと思います。

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